東京五輪を終えて(フェンシング山田優選手)

東京2020オリンピック競技大会で金メダルを獲得した、フェンシングの山田優選手(体育学科2017年卒)にインタビューをしました。

以下、山田選手のインタビューを掲載いたします。改めて、おめでとうございます!

 2021年7月23日に開幕した東京2020オリンピック競技大会に,男子フェンシング代表メンバーの一員として参加してまいりました。本大会は,新型コロナウイルス感染症が蔓延する中での開催となったため,賛否両論ありましたが,開催をしていただけたことに心より感謝申し上げます。
 結果は,男子エペ団体で日本フェンシング史上初の金メダルを獲得することができました。自身の夢であったオリンピック競技大会への出場を果たすだけでなく,まさか初出場で金メダルを獲得できるとは思っていなかったので,私の中では嬉しいというよりも驚きの方が大きいです。まだまだ実感が湧いておりませんが,金メダルを獲得することで自身を取り巻く環境に多大なる影響を及ぼすということを,日々感じております。
 結果として金メダルを獲得することができましたが,コロナ禍における試合や準備はとても大変でした。大会前に大分県で合宿をしていましたが,全く調子が上がらずどうしようかなという状況でしたが,偶然,地元の友達から連絡が来て,友達と何気ない話をしているうちに,本当の自分というものが見えてきて,なんとかメンタルを持ち直すことができました。しかし,大会が始まり,選手村に入ってすぐに緊張に襲われ,個人戦の1試合目までずっと震えていました(笑)その結果,ランキングの低い選手との1回戦で,とても危ない試合をしてしまいました。本来であれば,個人戦の組み合わせは1ヶ月ほど前に決まるはずでしたが,コロナの関係で組み合わせに変更が生じる可能性があったため,試合前日まで発表されませんでした。予定では強豪国のロシアかスイスの選手と当たるはずでしたが,前日の発表で格下選手の勝ち上がった方ということになりました。普段ならラッキーと思うところが,「オリンピックには魔物がいる」ということを良く聞きますし,実際に私が慕っている先輩もその魔物に喰われてしまったところを見ていたので,私もそうなったらどうしようっていう不安でいっぱいでした。その結果,ガチガチの固い試合をしてしまいましたが,1試合目が終わると気持ちがすごく楽になり,動きも良くなりました。W杯や通常の大会ではこのような経験をすることはできませんので,コロナ禍だったからこそ,とても価値のある経験をすることができました。このような緊張感を味わえたことは,私の競技人生に必ず生きてくると思います。
 話は変わりますが,大会期間中に自身のSNSに賞状の写真を挙げたことをメディアに取り上げていただきました。メダルや賞状について改めて調べてみると,賞状は岐阜県美濃市名産の美濃和紙で,職人の方々が1枚1枚丁寧に手漉きで仕上げたものだそうです。オリンピック史上最も重いメダルは,造幣局の職人さんが1枚ずつ手作業で仕上げ,そのメダルを入れる箱も北海道の山上木工の職人さんが手作業で仕上げていたそうです。改めて本大会の開催にあたっては,日本全国の方々に支えてもらっていたのだと気付かされました。コロナ禍において,人々と接触する機会が減り,他者とのつながりを感じ辛くなっている今だからこそ,人と人とのつながりを大切にしていきたいと感じました。
 今後の展望として,まずはパリオリンピックへの出場を目指し,今回の大会での学びを踏まえて,また一から頑張りたいと思います。競技については40歳くらいまで続ける予定ですので,自分の気持ちや体と相談しながら,太く長い競技人生を送れるように頑張りたいと思います。最後になりますが,自身も日本大学文理学部体育学科の卒業生として体育学科や同窓会を盛り上げていけるよう,これまで以上に精進してまいります。これからも変わらぬご声援のほどよろしくお願い申し上げます。

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