【論文掲載】円盤投における身体の回転はどのように生み出されるのか

本学科の関慶太郎助教、本学大学院博士前期課程を修了した菊池翔太さん、日本体育大学の阿江数通研究員らの論文がJournal of Sports Sciencesに掲載されました。

題目:Investigating the m echanism sofbody rotation during the standing discusthrow using an
inclined board:An intraindividualcom parative study
著者:Keitaro Seki, Shota Kikuchi, and Kazumichi Ae
掲載誌:Journal of Sports Sciences 43巻22号 2731–2739ページ
DOI:10.1080/02640414.2025.2555101
リンク:https://doi.org/10.1080/02640414.2025.2555101

<研究概要>
陸上競技の円盤投では、リリース時の円盤の速度がパフォーマンスに最も影響する要因であることが知られており、これを高めるためには鉛直軸まわりの角運動量を大きくすることが重要であると言われてきました。しかしながら、円盤投を対象に、詳細な動作や力の測定を行うことは実験環境の制約から難しく、試合での動作測定による研究がほとんどでした。そこで、本研究では、室内の実験室において、円盤投の練習法のひとつである立ち投げ動作を4つの条件下で行わせ、そのときの動作と地面反力を測定することで、身体の回転運動を生成する力学的要因の解明を試みました。本研究では、運動条件を変えるために、右足の下(右投げの場合)に4°、8°、12°の傾斜板を設置した3つの傾斜条件と、傾斜板なしの平地条件の計4条件で比較を行いました。
本研究の結果、身体の回転運動は、左足の地面反力のモーメントの貢献が最も大きく、その次に右足の地面反力のモーメントが貢献しており、左右の足のフリーモーメントの貢献はごくわずかでした。身体の回転の勢いを示す、鉛直軸まわりの角運動量は4条件間に有意差は認められませんでしたが、右足の地面反力のモーメントとフリーモーメントの内訳には有意差が認められました。また、右足の地面反力のモーメントを構成する要素である地面反力は平地条件と比較して傾斜条件で小さく、モーメントアーム(身体重心と地面反力の作用点の間の距離)の水平成分は平地条件と比較して傾斜条件で大きく、鉛直成分は小さくなることが明らかになりました。これらの結果から、身体の回転運動を生み出すには、大きな力を発揮するよりも、スタンス幅を始めとする適切な姿勢を取ることの方が重要であることが明らかになりました。また、傾斜板は投げの後半においてスタンス幅を広げ、効果的な回転を生み出すことをアシストする練習法になる可能性があります。